オリーブオイル職人の予想外の答えとは…
たくさんあるオリーブオイルの中での
アピールポイント
今は日本でもたくさんの国からいろいろなオリーブオイルが輸入されるようになりました。国内で生産されたオリーブオイルも販売されています。たくさん売られているオリーブオイルの中から、消費者に選んでもらうため、売り手は自分のオリーブオイルが美味しいことをアピールします。鮮度、香り、味、ポリフェノールなどの健康成分の含有量、有名シェフの推薦、金賞受賞などなど… 。
カロリの美味しいオリーブオイルを是非手に取ってもらって味を知ってもらいたいという輸入者としては、カロリのエキストラバージンオイルの良さをいろいろアピールしたいわけですが、根っからの職人気質のカロリは、「味をみれば、わかる」と言って、なかなかいわゆるセールスポイントとなる情報を自分からは話してくれません。それを聞き出すのが、輸入者の役目ということで、いろいろと質問してみました。
酸度の低さはどれほど大切か
カロリのオリーブオイルは、実際に数え切れないほどのコンクールの受賞歴を持ち、イタリアでは頻繁に雑誌や新聞などのメディアで取り上げられています。カロリブランドの会長、ステファノ・カロリ氏はプーリア州の搾油協会の会長も務めていて、市からも優秀な搾油職人として表彰されるなどの実力者です。
彼の手掛けるエキストラバージンオリーブオイルの品質の高さには間違いがないのですが、それを証明するにはどうしたものか。何か具体的な数値とか教えてくださいよぉというわけで、日本のオリーブオイル売り場でよく取り沙汰されている酸度について聞いてみました。
収穫してからすぐに搾油することで、酸度が低い(=鮮度が良い)ことをアピールしているオリーブオイルがあるので、カロリにどう思うか聞いてみました。
国際オリーブオイル協会が定める基準によるとエキストラバージンオリーブオイルとされる条件は酸度が0.8%%以下です。が、「0.1%という驚異的な低さで鮮度が抜群!」って言って販売されているオリーブオイルがあるんだけど、どう思う?」と尋ねてみました。(酸度についての説明はこちらから。)
カロリの答えは、酸度が低いことは鮮度の目安にはなるにしても、化学的に酸度は下げることもできるし、酸度が低い=良いオイルというわけではなく、美味しいオリーブオイルは全体のバランスが取れている必要があるので、酸度だけを強調するのはナンセンスだというものでした。
オリーブは農産物なので、酸度は収穫された年によって変わることもあることを考えると、酸度を言うとしたら正確には今年は〇〇%ということになるはずという点の指摘もありました。実際、酸度の低さを誇る某エキストラバージンオイルを購入してみたところ、品質の高いオリーブオイルにあるはずのスパイス感がほとんどなく、サラダオイルの隣のような魅力のないものでがっかりしたことがあります。
収穫から搾油までの時間の基準は?
「実を収穫してから、搾油まで1時間!」という類の宣伝も目にするので、これはどうなのかと聞いてみると、カロリの搾油所でも収穫後1時間で搾油するものもあり、酸度も0.1%ほどのものがありますが、オリーブの実の鮮度が良い限り24時間以内なら、オリーブオイルとしての品質に大きな影響を与えるものではないので、収穫から搾油までの時間に執拗にこだわる必要はないというのがカロリの意見でした。
うーん、これも一番大切な要素ではないということです。
美味しいオリーブオイル作りに最重要な事
カロリの答えとは
多くの人が認める通り、オリーブオイルはある意味自然の芸術品。絵画など芸術品のすばらしさを数値で表すことができないように、オリーブオイルを何かのデータだけで評価することはできないってことですよね。
それなら、カロリが美味しいオリーブオイルを作る上で一番大切にしていることはなんですか?と尋ねるとその答えは
「大地の恵み=イタリアのオリーブの木」
というものでした。
オリーブオイルはオリーブの果汁だということを考えると、確かにどんなに高い技術があっても、オリーブの木が美味しい実をつけてくれなかったら、美味しいオイルはできませんからね。さすが、カロリ。その答えにオリーブオイル職人としての謙虚さと情熱が込められているように感じました。
ちなみに、カロリの農園には約8,000本のオリーブの木があり、その中には樹齢が何世紀にもなる直径が2メートル近い大きなものもあります。そのオリーブ農園を毎日巡り愛情を込めて木々の世話をすることが美味しいオリーブオイル作りに一番大切な事だったんですね。
プーリア州搾油協会会長のステファノ・カロリ氏が手掛ける自慢のエキストラバージンオリーブオイルはこちらから→